呪い

針の少ない筵。

一見すると針などなく、特に不自由もなさそうに見える。けれど、そこに身を置いているうちに、ときおり静かに針が肌を蝕んでいくような、そんな感触があった気がする。
夢で見たのかもしれない。いや、誰かから聞いた話だったか。けれど、もう定かではない。似たような話を、あまりに多く耳にしてきた。

すべてが悪いわけではない。

ただ、「すべて」が多面的であること、それ自体が、ときに重荷になる。喉に刺さった魚の骨のような些細な異物のようなものであり、どうにもうまく抜けず悪さをする。

その頃には動くだけの力は残っているのだろうか。

多が単に向けて投げてくる槍のような呪いに、一つひとつ対峙するだけの力を注ごうとは、もはや思わなくなっている。
そしてまた諦観の念は静かに深まり、音もなく肥溜めへ落ちていく。